月見猫

PENTAXカメラ愛用、旧レンズ集め、月の写真、野鳥や北海道の写真を写しています 連動ブログhttp://mooncats1966.blog.fc2.com/もどうぞ

12月11日の月

昨日は12月なのに大粒の雨が降り驚きました、それも1日中降り続いて根雪もほとんど姿を消してしまいました

先月-10℃まで下がったかと思えば昨日は氷点下にもならず秋が戻ってきたような空気でした

湿った空気が北上して起きた天候ですが気温が低ければ爆弾低気圧に発達して大雪に見舞われてしまっていたのでは・・・と思うと雨の勢いから少し怖くなった自分です

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今夜は昼間の晴れが続き夜空には上弦を過ぎた月が綺麗に光っています

日が暮れた7時すぎ、家について東の空を見たら斜めに傾いた冬の星座「オリオン座」が綺麗に見えますし更に左へと目を移せば明るく光る木星も見えて綺麗な夜空です

月が満ちてきて雨の海に光が射し始めましたね、先日も書いた中国の月探査機「嫦娥3号」が現在月周回軌道の高度を下げ14日の月面着陸に向けて準備を進めています

中国の計画ですのでなかなか途中経過など発表内容が乏しいのですが6日には月の上空100kmである月周回軌道に乗り4日かけて10日には上空15kmまで月へ近づいて(降下)したと発表がありましたので次に向けて現在は月を周回しながら予定している着陸地点である「虹の入江」への着陸準備の真っ最中でしょうね

今回の月探査、中国ということや情報や解説が少ないせいかアポロ計画の時のように日本での関心は薄そうですね

ただそのためか多くの誤解や勘違いが「中国だから」と変に湾曲されて解釈されているので素人説明ですが書いてみたいと思います

「月周回軌道に入ってから月面着陸まで何故8日も掛かるのか?」

これは先ず計画の先行で月の探査を終えている1号・2号の歩んだ道を通った方が成功率も上がりますし新たな機材や技術を使う必要もなくなります

ですから高度100kmの月周回軌道に乗せるまでは成功しましたね、しかしここからはロシア(旧ソビエト)やアメリカの探査や着陸技術を学んだとしても初めて行うこと、探査で集められた月の情報と現代科学で導かれた計画はあっても実際に実行されたことのない行動です

ですから慎重に高度を下げつつ1号・2号で得た情報と差異が無いか確認をしているはずです

現在は高度15kmで月を周回していますがアポロではここまで降下してすぐに着陸態勢に入り11号は着陸しています

しかしアポロ計画では先立ってアポロ10号がこの高度まで降下し着陸船の試験をしているのです

中国はこの試みをまだしていなかったのですから慎重に計画に問題がないかデータが間違っていないかを確かめる必要があります

更にはアポロでは時間をかけなかった100kmから15kmまでの降下と着陸行動には理由があります

それは有人だったから、時間をかける為には宇宙飛行士たちの命を守るための空気や水や食料が必要となるのです

一度のミッションでこれらを数多くこなそうとすると有人の場合はそれらの問題がありますね

しかし今回は探査機であり無人、時間を掛けても電力や燃料があれば有人より時間をかけて行動できるのです

「何故14日に着陸するのに2日に打ち上げたのか?」

確かに月への飛行を優先するならロケットの燃料を思いっきり積んで加速し続ければ速く着くかもしれませんね(笑)

しかし月への一番信頼性がある飛行方法はまず地上から加速(ロケット)して地球の重力から抜け出さなければいけません

まずは地上から第一宇宙速度まで加速し地球の周回軌道に乗ります

ここから更にロケットを使い加速して第二宇宙速度まで速くすると地球の周回軌道から抜け出し地球と月を結ぶ楕円軌道に乗ることが出来るのです

軌道といっても道や線路があるわけではないので途中で何度か進路修正を行いながら月に向かうと月の重力が働き月周回軌道へと乗ることが出来るのです

これが一番燃料を使わず月へと向かう確立された方法なので中国もこれを使ったのだと思います

掛かる日数は約4日ちょっと、2日に打ち上げたのが6日に月周回軌道に乗ったので判りますね

先に書いていますがここから4日掛けて高度を100kmから15kmに下げています

更に4日掛けて今度は15kmの上空で周回しながら着陸に備えるのですが何故4日も待つのか?

これは着陸する目的地に理由があります、それは「虹の入江」だから14日まで時間をかけて着陸準備が出来るのであり遅かったり技術が低いという解釈は大間違いです

上に貼ってある写真を見ると判るとおり今夜の月に虹の入江は見えません

つまり現在虹の入江は夜となります、屋外で何かを初めて行おうとしているのに特別な理由でもない限り明るい昼間を選びますよね?

更に大切なのは太陽光、人工衛星や探査機の大切なものとして電力があります

その電力のためには太陽光発電が欠かせません、月の昼と夜は地球の半月ごとに訪れます

つまり約360時間の昼と夜があるんです、発電が可能な時に着陸して地上展開を行い充分な電力を確保しなければ長い夜がやってきてしまいます

ランダーと呼ばれる着陸機には核燃料が積まれていて夜の間でもある程度の電力は確保できますが玉兎は活動の制限を受けると思います

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今回の計画で安全に着陸できる地点として虹の入江を選んだ以上、14日を待たなければ着陸は出来ないのです

「2日に打ち上げたものが14日まで着陸できない」のではなく「14日に着陸するためにより確実な方法として2日に打ち上げた」というのが正解です

ネットや聞こえてくる話で「中国は」や「中国だから」という言い出しで今回の月挑戦を色々と「粗探し」しているような感じを受けます

確かに領土問題や経済摩擦や国の違いから対立したり揶揄したり良い話をあまり聞きません

しかしスポーツと同じで競うことはあっても宇宙への挑戦に勘ぐりや批判は聞いていて悲しくなる気持ちでいっぱい

今同じアジア圏から日本では成し遂げていない、世界でもまだアメリカとロシアしか成功していない偉大な挑戦へ進んでいる国があります

その成功を祈りつつ達成の際には心から喜びと祝福の拍手を送れるような人でありたいと月を見上げながら感じました